VA/VE (加工技術FAQ)
【材料】材料選定
SUS316とSUS316Lの違いは?
SUS316とSUS316Lは、ともにステンレス鋼の一種で、主に腐食に対する耐性に優れた材料として用いられています。SUS316LはSUS316の改良版とも言えますが、以下に両者の違いと各特徴を説明します。
🔵化学組成
SUS316は、クロム18%、ニッケル12%の組成を持ちます。一方、SUS316Lは、クロム18%、ニッケル12%の他に、モリブデンを加えた組成を持ちます。SUS316Lのモリブデン含有量は、通常2%以下です。
🔵腐食に対する耐性
SUS316は、一般的に優れた腐食に対する耐性を持ちますが、塩素イオンが存在する環境下では、クラック腐食に弱いという欠点があります。一方、SUS316Lは、モリブデンの含有量により、クラック腐食に対する耐性が改良されています。そのため、高濃度の塩素イオンが存在する環境下でも使用されることがあります。
🔵溶接性
SUS316Lは、SUS316に比べて溶接性が良好です。そのため、加工や組み立て時に、SUS316よりもSUS316Lが選択されることがあります。
🔵用途
SUS316は、化学プラントや石油化学プラントなどの高温、高圧環境下で使用されることが多く、また、医療機器などの用途でも使用されます。一方、SUS316Lは、食品加工機器や医療器具、海洋機器など、高い腐食性が要求される用途で使用されます。
🔵価格
SUS316Lは、SUS316に比べて、モリブデンの含有量が多いため、若干高価になります。
以上がSUS316とSUS316Lの違いと各特徴についての説明です。